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 >低電位差のローノイズ電源


記載項目
・位相補償
・OPアンプのロールオフ周波数について
・トランジスタのエミッタ接地回路のゲインとコレクタベース間容量Cobについて
・トランジスタロールオフ周波数について
・OPアンプの負帰還ループによる位相補償について




上記回路図にて、出力のコンデンサをなくすと約700KHzの周波数で発振します。
位相遅れが発生する場所は、OPアンプとトランジスタが考えられます。



OPアンプの利得帯域幅積Ft は1MHzで、上記回路図では
負帰還がかかっていませんので、10Hzにて位相が45°遅れ
1000Hz以降90°遅れます。




トランジスタでは、コレクタベース間容量のミラー効果により位相が遅れます。
エミッタ接地回路の電圧増幅率Avについて、トランジスタ内部エミッタ抵抗re、
ベース電流Ib、コレクタ電流Ic、エミッタ電流Ie、負荷抵抗RL、直流増幅率hfe、
コレクタベース間容量Cobベース抵抗は小さいものとして右図にて検討します。

ベース電流が少し増加すると、Vbeは変化することなく、Ic = Ieとして
ΔIc*reボルトのみ増加するので、
ΔVi = re*(hfe+1)*ΔIb
ΔVo = -(hfe+1)*ΔIb*RL
Av = ΔVo/ΔVi = -RL/re

そして、ベース電流はre及びCobに分流し、Cobの両端電圧は入力電圧Viの
Av倍の電圧がかかり、そのため、Cobの電流はAv*Vi/(1/jωCob)となり、
見かけ上のインピーダンスは1/Av倍、見かけ上のコンデンサ容量はAv倍です。
ロールオフ周波数以降、ベース電流がコレクタベース間容量へ分流することにより、
ベース電流が減りアンプのゲインが低下します。




回路図から外部未接続の場合の負荷抵抗は2000Ω、出力5Vとして、約Av=RL/re=200倍、
Cob = 200pf、トランジスタ外部ベース抵抗は、680Ω。
よって、トランジスタアンプのロールオフ周波数は、5.85KHzとなります。
トランジスタのゲインとOPアンプのゲインと分割抵抗の減衰量との総ゲインが0dBとなる周波数を
グラフより読み取ると、700KHzとなります。
    ゲイン 位相
トランジスタアンプ3dB-90°
OP3dB-90°
R1、R2分割 -6dB   



低域でのゲインを40dBとするため、抵抗を100KΩ、
コンデンサを1000pfとすると、OPアンプのロールオフ
周波数は1.6KHzとなります。
下図のような周波数特性となります。
トランジスタの位相が90°遅れる周波数は580KHz程度で、
この時の総ゲインは0dB以下となり、発振は停止します。
(入力電圧6V、出力電圧5V)


位相補償抵抗 位相補償コンデンサ ロード負荷 出力コンデンサ 結果
100KΩ100P2KΩ無し発振
100KΩ1000P2KΩ無し安定
100KΩ10000P2KΩ無し安定
100KΩ1000P10Ω無し安定
100KΩ1000P2KΩ100μf 安定
100KΩ1000P10Ω100μf 安定




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